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それぞれの後編
第10章 サディスティック・マリッジ〜第五章・秋〜【前進するために…】
──…
───…
────ちょうど一年前…、
琉の気持ちがわからずにいた愛里咲に里中が言った。
「俺は愛里咲が幸せなら身を引く。でも、彼は愛里咲を幸せにしてくれるの?」
琉はそれに答えなかったし、愛里咲もその答えがわからなかった。
「愛里咲! 俺は愛里咲を愛してる! 彼は? 愛里咲を愛してるの?」
そう言い切る里中の真っ直ぐな瞳に、愛里咲の足が止まり、胸が騒いだ。
琉は、立ち止まったまま前を睨み何も言わない。
琉の気持ちはわからない。
不安は拭えない。
それでも、愛里咲自身の気持ちはハッキリしていた。
「私は…琉ちゃんが好きだから……」
里中の手を振りほどき、その目を見据える愛里咲の瞳は揺るぎないものだった。
「琉ちゃんの隣で幸せになりたい……愛してもらえるように…なりたい……」
里中は、愛里咲が初めて付き合った男性。
急な転勤で別れる事になったけれど、再会してからも愛里咲を気に掛け元気付けてくれていた。
それでも、だからといって里中の気持ちに応える事は出来ない。
「心配してくれてありがとうございます。お気持ちは嬉しいです。でもごめんなさい。応える事は出来ません……」
ハッキリとそう言葉にした愛里咲に、立ち尽くす里中。
琉に無理矢理手を引かれ、立ち去った愛里咲は、その後里中と会う事はなかった…
─────…
───…
───…
────ちょうど一年前…、
琉の気持ちがわからずにいた愛里咲に里中が言った。
「俺は愛里咲が幸せなら身を引く。でも、彼は愛里咲を幸せにしてくれるの?」
琉はそれに答えなかったし、愛里咲もその答えがわからなかった。
「愛里咲! 俺は愛里咲を愛してる! 彼は? 愛里咲を愛してるの?」
そう言い切る里中の真っ直ぐな瞳に、愛里咲の足が止まり、胸が騒いだ。
琉は、立ち止まったまま前を睨み何も言わない。
琉の気持ちはわからない。
不安は拭えない。
それでも、愛里咲自身の気持ちはハッキリしていた。
「私は…琉ちゃんが好きだから……」
里中の手を振りほどき、その目を見据える愛里咲の瞳は揺るぎないものだった。
「琉ちゃんの隣で幸せになりたい……愛してもらえるように…なりたい……」
里中は、愛里咲が初めて付き合った男性。
急な転勤で別れる事になったけれど、再会してからも愛里咲を気に掛け元気付けてくれていた。
それでも、だからといって里中の気持ちに応える事は出来ない。
「心配してくれてありがとうございます。お気持ちは嬉しいです。でもごめんなさい。応える事は出来ません……」
ハッキリとそう言葉にした愛里咲に、立ち尽くす里中。
琉に無理矢理手を引かれ、立ち去った愛里咲は、その後里中と会う事はなかった…
─────…
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