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それぞれの後編
第15章 【うちのむぅがドSなのか口が悪いのか微妙な件ww】続2
夏休みも残りわずか。

煌太の母親からは度々電話があるものの、一向に帰る気配がない。


「夏休み中、ずっと居る気かよ?」

夏期講習帰り、不機嫌なむぅの声が煌太に降り注ぐ。


「俺の家は音羽の家から遠いんだよ。声聞いたら会いたくなるだろ? 俺、会いたくなったら我慢出来ないから…むぅの家にいればすぐ会えるじゃん?」


ドヤ顔で語る煌太に、むぅは大きなため息を吐き出した。


「あ、帰ってきた!」

いつの間にかむぅの家はすぐそこで、むぅの母親の声に2人して顔を上げる。


「……誰?」

玄関からこちらを見ているのは、むぅの母親ともう1人。

見知らぬ若い男性に、むぅは首を傾げた。


「─────っ、げっ‼︎ 」

その男性を見て、2歩3歩と後ずさる煌太。


「煌太‼︎ 」

むぅの後ろへと隠れてしまった煌太に、その男性が大股で近付いてきた。


「……誰?」

眉を顰めて聞くむぅに、

「あ、君がむぅくん? うちの煌太が長々とお世話になりました」

男性はにこやかに答える。


むぅよりは確実に年上だろうその男性。

30代くらいだろうか……笑うと更に幼く見える。


「どうも。煌太の兄貴ですか?」

「いや、父親です」

「ええっ⁈ 父親っ⁉︎ 」


むぅも煌太も三人兄弟の末っ子…互いの父親の歳は近いだろう。

だが、とても自分の父親と同じくらいには見えない。

(見た目年齢、若過ぎだろ…)

珍しく、むぅが目を見開いたまま固まった。



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