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それぞれの後編
第19章 【うちのむぅがドSなのか口が悪いのか微妙な件ww】続3
ガサガサと、むぅは袋から2枚のクッキーを取り出す。

「相変わらず下手くそな絵」

そう言いながら、口元は嬉しさに緩んでいる。


年々上達はしているが、普段から絵の上手くない蘭はチョコペンを使うと ”絵” とは呼べない酷さになる。

それでも毎年、大苦労しながらむぅの似顔絵をチョコペンで描いてくれる。


むぅの1歳の誕生日はお互いに記憶にすら残っていない。親の自己満足のために渡されたクッキー。

むぅの2歳の誕生日からは、下手くそながらも蘭がチョコペンで絵を描いた。

それが続いて、むぅの18回目の誕生日。この日にまたクッキーを渡すことが出来た。


そして今年はもう一枚…

「顔……じゃないよな?」

そのクッキーには、チョコペンで、数字のようなアルファベットのようなものが3つ並んで描かれていた。


「こーたーえ!」

「はぁ?」

「数学の問題の答え!クッキー作りながらもう一度解いてみたの」

本当は、誕生日おめでとうと書きたかったけれど、翼の言葉に誘導されて書いてしまった答え。


「どれの答え?」

「問5」

むぅの言葉に、翼とやった勉強ノートを広げる蘭。

指差されたその問題を見たむぅは、

「……答え間違ってる」

ボソッと呟く。


「ええっ⁉︎ さっきはちゃんと解けたのにぃ!」

……だから、蘭かクッキーに答えを書いた時、翼は唖然としたのか……

なんてことにまで、蘭の考えは及ばない。


頭を抱えてノートを睨む蘭に、

「……教えてやるよ」

ため息混じりにペンを取ったむぅ。

「むぅーっ♡」

こうして、

むぅの18歳のお誕生日は、

なんとも2人らしい…そして、受験生らしい誕生日となった。

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