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それぞれの後編
第21章 青天の霹靂
「付き合お?」

断られるなんて想定すらしてないような、不敵な光を宿して細められる夏川クンの切れ長の目。

実際、断るなんて選択肢、私の中にないんだけど……言葉が出て来ない。混乱してる。


「愛里咲……?」

こんな時に名前呼びされたら……コクンと首が勝手に縦に落っこちそうだよ。

吸い込まれる……
夏川クンから、視線が逸らせない……

弧を描いて引き上げられた唇に自分の名前を甘く囁かれて、身体に激しい電気が走って心臓がドキドキ騒いで苦しくなる。


「……ダメ?」

ズルイ……

不敵な強さを放っていた夏川クンの瞳が、悲しそうにフッと伏せられる。

強さを誇っていたかと思えば、不意に見せつけられた弱さ。そのギャップに、今度は心臓が締め付けられて痛い。


「ダメなんかじゃない!嬉しいよ!」

気付けば首を大きく横に振りながら、私は夏川クンに必死に訴えていた。


「……ホント?」

顔を上げた夏川クンの瞳に、再び映ることを許された私の姿。嬉しさにワクワクと心が弾んで、頬が紅潮する。


だから、

「俺と、付き合ってくれる?」

夏川クンからの問いかけに、

「うん!もちろん、喜んで!」

満面の笑みでそう答えていた。





「…………じゃあ、いいよな」



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