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それぞれの後編
第1章 身代わり妹〜第一章〜【宝物】
本当に本当に幸せで、心穏やかだった日々。

だけど幸せは長く続かなかった。


5年前、凌太が秋村病院に戻って来て、あの頃の私はこれからはずっと一緒にいられると浮かれていた。


しばらくして、凌太は姉の担当医となった。

「一目惚れ!」
姉が母にそう言った瞬間、一気に血の気が引いた。

私と凌太の関係に気付いた姉は、
「付き合ってくれなきゃ治療は受けない」
そう言った。


母は毎日「早く凌太さんと別れて美姫を助けてやれ!」と私を殴った。

「医者が患者を殺す気⁉︎」
凌太もまた母と姉から責めたてられた。

何より、医者である凌太は、治療を拒否した姉の、進んでいく病状の深刻さを良くわかっていた。


姉の治療拒否から3ヶ月が経った夏の日、凌太は言った。
「ごめん、美優。俺、美姫と付き合う」

私は─────、
頷く事しか出来なかった。

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