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雫の調べ
第1章 序章
先生と生徒の関係が狂いだすまでには、そう時間はかからなかった。
レッスン室から響くピアノの調べはいつも変わらずだが、太一がレッスンを受けに来るとピアノの音は静まり、そして太一が帰った後、別の生徒に入れかわれば、また再びピアノの音が聴こえてくるという事が当たり前になっていた。
音楽大学を卒業し自宅で小さなピアノ教室を開いているさつきは、子供から大人まで教える毎日で、すでに三年の月日が経っていた。そんな中、何か特技を得ようと4ヶ月前にこのピアノ教室にやって来たのが、四十歳の太一だった。
レッスン初日から太一の目は違っていた。それはピアノを習得しようとするやる気に満ち溢れた目ではなく、ピアノ講師のさつきを見る目だった。
それは一目惚れだった。
レッスン室から響くピアノの調べはいつも変わらずだが、太一がレッスンを受けに来るとピアノの音は静まり、そして太一が帰った後、別の生徒に入れかわれば、また再びピアノの音が聴こえてくるという事が当たり前になっていた。
音楽大学を卒業し自宅で小さなピアノ教室を開いているさつきは、子供から大人まで教える毎日で、すでに三年の月日が経っていた。そんな中、何か特技を得ようと4ヶ月前にこのピアノ教室にやって来たのが、四十歳の太一だった。
レッスン初日から太一の目は違っていた。それはピアノを習得しようとするやる気に満ち溢れた目ではなく、ピアノ講師のさつきを見る目だった。
それは一目惚れだった。