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ダンシング・クィーン
第2章 啓子
栄治が2年生の 1学期の終業の前の日に 
職員室にきて 赤い顔で 私の前に 

「 先生 」って 震える声で

「 教えて欲しい処が有るんです 」
そう言いながら

白い封筒を 私に差し出して来て 回りの先生を見て
誰も見ていなかったから 鞄に入れて 栄治を見たら
頭を下げて 逃げる様に 出て行ったな

国語の授業の時 何時も私を真剣に見て 
成績も悪くなかったけど
一人の生徒としか 見て無かったから

部屋で 読んだら 好きです 電話下さい
思わず 笑ってしまったは 
国語の教師に こんな短いの 無いでしょう 
後で栄治に聞いたら
便箋半分 使ったと 言ってたな 
色々書いたけど
国語の先生だと 駄目だしされる それならと
シンプルに これだと思ったと 言ったから 
笑ってしまった

携帯番号 書いて有るのを見て 何度止めようか 
握り絞めていたのを 忘れられない
あの日から 心を動かされてたのかな?
栄治に こんな事しては、駄目 注意して上げる事は 
教師の務め 

何処かで 胡麻化していたのね・・・

電話を掛けたら 直ぐに出たから 驚いたな・・・
逢いたい 駄目 何回繰り返したかな?・・・
電話の声の 真剣な言葉 本当に真っ直ぐ
変わらないよね 今でも

ファミレスで 栄治にこんな事したら駄目よって言ったら
あの子 目に涙浮かべて 歯を食いしばっていたな・・
男の子だよね 頭を撫でたら 
きっと大声 出して泣きそうで
傍を通った 男の人が 私と栄治を見たから
慌てて 車に乗せて 私が息抜きする
海岸の 駐車場に向かったの 

車の中で 男の匂いを嗅いだ時 
隣に座る栄治を見て 初めて男と思ったな



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