この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
 2

 僕は、ピアノの音を頼りに玄関脇から中庭?…へ、歩いていく。

 果たしてどんな三年生の先輩が弾いているのか興味があった…
 そして変わらずに、美しいピアノ演奏の調べは聴こえていた。

 うわ、大きな木、そして広い庭…

 あ、池まである…

 自分の家のまるで箱庭のような狭い庭と思わず比べてしまい、感嘆してしまう。

「あっ…」
 するとリビングであろう大きな窓ガラスの向こう側に…
『エリーゼのために』
 を、ピアノ演奏をしている女性の姿が見えた。

 肩までの黒髪…

 白いブラウスに黒のカーディガン…

 黒いロングスカート…

 俯いているから顔は分からない…

 だが僕は、そのピアノを弾いている美しい姿に思わず見とれてしまう。

 あ…

 すると彼女は不意に顔を上げ、こっちを…
 庭に忍び込んでいる僕を…
 見た。

 フェミニン…
 と、いうのだろうか。

 物静かな雰囲気の、色白で、大人っぽい綺麗な顔をしている…

 とても一つ年上の中学三年生には見えない…

 高校生みたいだ…

「あ…」
 
 その彼女が…

 微笑みながら、こっちに来い…
 と、手招きしてきた。

 多分、中学の制服を着ているから…
 庭に侵入していても怪しくはないと思ってくれたようだ。

 僕は、リビングの窓に歩み寄ると…

「あ、ご、ごめんなさい…
 チャイムを何回か鳴らしてたんだけど…」
 必死に言い訳をした。

「ピアノを弾いていたから…聞こえなかったみたいね…」
 その声は、顔に似ずに、意外にハスキーだ。

「あ、あの、これ、プリント頼まれて…」

 そして慌てて手にあるプリントを差し出すと…

「あら、わざわざありがとうね…」
 そう微笑みながら囁き、手を伸ばして受け取った。

「ふーん、進路系の書類かぁ…」
 そしてプリントを見ながら呟いた。

「わざわざありがとう」

 また言ってきたから…

「え、いや、帰り道なんで…」

 そう言うと…

「あの坂の下の家よね?」

「え、知ってるんですか?」

「うん、二年生だよね…」

 驚いた…
 僕を知ってるんだ…

「何かお礼しなくちゃね…」

「あ、いえ、そんな、帰り道だし…」

「ううん、ちょっと上がって…」

「えっ」

「さあ、上がって…」
 


/209ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ