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第1章 システム概要

性欲あふれる男女にとって夢のシステムが、ついに実装された。
＜バーチャルお見合いシステム＞
と行政により命名された。

運営は、国家が行い、負担料金は全国民一律で初期費用１０万円のみ。オプションは、別料金である。

利用に当たっては、初期設定として国民番号を入力し、アバターを作る。
アバターは、基本的には男子は身長１７５センチ・体重６５キロ・筋肉質、女子は身長１５８センチ・バストＦカップ・スレンダー体型となり、男女共に顔は美男美女となる。
ただ、アバターをリアルの姿に似せ作ったり、好みの体型に作ることが可能なオプションがある。

起動するには、男女あるいはパートナー同士が互いの手のひらに埋め込まれたナノチップ同士を触れ合わせ（具体的には手を握り合うか、手のひら同士を合わせる）、もう片方の手のひらチップをタッチする。
なおこのもう片方のチップには、起動拒否を行う緊急システムがあり、一方の人間による強制起動を阻止可能になっている。拒否を行ったときは、相手の情報が行政に瞬時に送信される。相手は、後日行政や警察による聞き取り調査ないし捜査を受けることになる。

システムを起動すると、男女共に意識がバーチャル仮想空間に移る。
仮想空間は、リアルのラブホテルの室内を模している。
ダブルベッド、壁や天井の大きな鏡、浴室、ソファー、大画面のディスプレイ、カラオケなど。
そして、男女共に基本的には全裸の姿になっている。（オプションとして、下着や服をつけた姿も可能）

そして、これがこのシステム最大の特色、仮想空間内の時間の進みが非常に速いことがある。
仮想空間内の１時間は、リアルの１０秒でしかない。
また、そのため、仮想空間内で長時間を過ごすことも容易である。仮想空間内での１年は、リアルの１日にすぎない。