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第10章 キャンセラー発覚！巻き起こる性論争

８月20日朝、３人の男女が、当局により逮捕され、警察に連行された。
その３人は、
　２２歳中学教師　サトシ
　２２歳大手情報企業社員　ソウタ
　１２歳小学６年生　しおり
容疑は、＜バーチャルお見合いシステムの規制を不正にキャンセルした罪＞。
ちなみに、行政側はそのようなキャンセルが可能だとはみじんも思っていなかったので、そのような罪を定めた法律は存在しない。
だから、逮捕状もなかった。

バーチャルお見合いシステムの規制をキャンセルする装置を設置したのは、この３人以外にも全国各地に多数いるが、その技術の基本を開発したのはこの３人だと特定された。
全国各地の規制キャンセラー装置は、この日、全て停止され、規制が復活した。

３人の容疑者は、裁判を受けることもなく、そのまま刑務所に投獄された。
これは、保守派の政治家たちが、反論意見を発表したり公開裁判をすることにより性文化を乱すことを危惧したためである。
３人には、弁護士さえ付けることも許されなかった。

しかし翌日８月2１日、世界各国がいっせいにこの国のその判断を
＜先進国にあるまじき、基本的人権無視抑圧事案＞
として、激しく非難した。
そして世界最大の大国が、この国に対し
「２４時間以内に、この３人に対し弁護士を付け、公開裁判を受ける権利、反論をする権利を与えなければ、外交関係を断ち、貿易を止める」
と、警告するにいたった。
ただ世界各国は、この国のバーチャルお見合いシステムの様々な規制を批判したのではなく、その逮捕、即、投獄のやり口を批判しただけだった。

世界最大の大国との外交・貿易関係を断たれると、この国は一瞬にして滅ぶ。
この国の保守派の長老たちは、折れた。
８月22日、とりあえず刑務所内から反対意見を発信することが許された。

この日、サトシ・ソウタ・しおりは、インターネット上に共同反対意見を発表した。
「バーチャルセックスは、リアルセックスではない。ただの、趣味コンテンツである。バーチャルお見合いシステムの使用の自由を要求する」