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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第5章 突然の別離
屏風には墨絵の鯉が雄壮に描かれている。目上には相手から話しかけられるまで、話してはならない。雪鈴は義父の背後の鯉を見るともなしに見ていた。
鯉はよく描かれており、今にも屏風から抜け出してきそうだ。ふとコホンと静寂にわざとらしい咳払いが響いた。義母の催促に、義父が渋面で重い口を開いた。
一体、この義理の父の笑顔を一度たりとも見たことがあるだろうか。ハソンはいつもやわらかな笑みを刷いていたというのに。