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第5章 突然の別離

ハソンが急死したあの日、雪鈴は帰ろうとする医者を呼び止めて、すべてを聞いたのだ。

また、義母と医者の会話の端々からも、良人が心ノ臓を患っており、深刻なものであったことも知れた。



　雪鈴は静謐な声音で断じた。



「若さまは生まれたときから、心ノ臓に欠陥がおありでした。詳しくは小さな穴が空いていたようですね。そのため、武術の鍛錬はむろん、走ることさえ禁止されていました。しばしば発作を起こし、亡くなられる直前に飲まれていた頓服を服用され何とか事なきを得ていたとか」