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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第30章 揀擇
雪鈴はハッと胸をつかれ、想い人の綺麗な顔をじいっと見つめた。
ーこれが最後。その想いが万感の情を引き寄せる。彼女は何も言わず、両手を組んで眼の高さに持ち上げた。チマが汚れるのも頓着せず、座って一礼し、また立ち上がって深く頭を下げる。この国の王ではなく、大好きな男に捧げる拝礼だ。お腹が大きすぎるため、自分でももどかしいほどゆっくりとしか動けない。座った体勢から立ち上がるのもやっとという有り様だ。