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第31章 早春の海辺

　しばらくはまた波の音だけが聞こえていた。やがてコンは面を上げ、雪鈴を見つめた。




「すべてはもう過ぎ去ったことだと言ったら、そなたは怒るだろうか？　雪鈴、俺は先王のなしたことを許せそうにない。さりながら、正直なところ、もう過去は忘れたいんだ。今は、せめてこれからは取り返せない過去ではなく未来だけを見て生きてゆきたい」