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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第36章 再会
一階のどの室からも楽の音や人声が聞こえてくる。まだ漸く宵を回った刻限だろうのに、暇人の多いことだ。まあ、かく言う自分もその暇人の一人なのだが。
一階からは色町の大通りに出る表玄関と、今一つ、庭へ抜けられる出入り口があると聞いた。庭もまた見事に手入れされていると聞き、賛は心ひかれた。今の季節なら、秋の花が咲き揃っているだろう。広座敷に飾られている金木犀を思い出し、金昌との初恋の想い出にまで想いを馳せる。