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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第37章 秋桜(コスモス)の夢
幸運にも、正門を抜ける頃には、小降りになっていた雨はすっかり止み、嘘のような晴れ間がひろがった。一年ぶりの下町は、実に新鮮に映じた。宮殿正門前の広場から伸びる都大路にはあまたの人が行き交い、この国の太平と繁栄ぶりを物語っているかのようだ。
しかし、その一方で、貧民街に一歩入れば、傾きかけた襤褸家が建ち並び、垢に汚れ粗末な衣服を着た子どもたちが物乞いよろしく道端にたむろしている。