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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第39章 葛藤

冒は来るときよりも更に昏(くら)い気持ちで東宮殿への道程(みちのり)を辿った。東宮殿に戻った頃には、美しい星空がひろがっていたはずだ。
今や見上げた空には星一つさえ見当たらず、月は厚雲に覆い尽くされ、まったくの闇夜と化している。まるで我が心をそっくりそのまま映し出したような空だ。賛が足を止めるので、ついてきた内官も数歩後ろで所在なげに佇んでいる。
叢(くさむら)では秋の虫の音がすだいている。いつもなら趣があると思える虫の声も、今はただ無性にわびしげに聞こえた。
今や見上げた空には星一つさえ見当たらず、月は厚雲に覆い尽くされ、まったくの闇夜と化している。まるで我が心をそっくりそのまま映し出したような空だ。賛が足を止めるので、ついてきた内官も数歩後ろで所在なげに佇んでいる。
叢(くさむら)では秋の虫の音がすだいている。いつもなら趣があると思える虫の声も、今はただ無性にわびしげに聞こえた。

