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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第39章 葛藤
再び紗で口許を覆い、外套を頭からすっぽりと被った桂花は、来たときと同様、馬尚宮の先導で正門まで送り届けられた。そこには女輿が待ち受けていたものの、桂花は馬尚宮に断り、徒歩(かち)で帰ると告げた。
松月楼に立派な輿が横付けされようものなら、また大騒ぎになるのは眼に見えている。必要以上の騒ぎはもうご免だ。まあ、松月楼の妓生たちは華月初め、皆が桂花の話を聞こうと手ぐすね引いて待ち受けているだろうけれど。