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第40章 花、薫る夜

　陽善大君が肩をすくめた。



「そなたのような美人が兄嫁になるんで、女癖の悪い俺は体の良い厄介払いされただけさ」



　口調とは裏腹に、彼の瞳は悪戯っぽく煌めいている。佳花は笑いながら応じた。



「陽善大君さまは、兄君の妻となる人に無闇に手を出したりはされません。そのようなお人柄ではないことはよく存じております」