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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第40章 花、薫る夜
 想いに耽る賛の耳を、桂花の不安そうな声が打った。



「邸下」


 賛は先刻、自分が桂花に声を荒げたのを思い出した。



「済まない。たまたま通りかかって、そなたと陽善が一緒のところを見て、つい悋気してしまった」



 口にしてから、馬鹿正直に言うことでもないと柄にもなく紅くなった。桂花は、世にも不思議なものを見るようなまなざしだ。
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