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第41章 それぞれの想い

　その話通りであれば、父にも母にも非は一切ない。そもそもの元凶は他人のーしかも義息子の女に手を出した好き者の先王だ。けれど、世間は真実より、もっと破廉恥な醜聞の方を好んで語りたがる。




　父の立場にすれば、母に先王と自分を引き合いに出し比べられるのは堪ったものではあるまい。母は今、よほど理性を失っているのだ。普段から利発な母がそれしきのことを理解していないはずがないのだ。