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第10章 再び春巡りて

　でも、彼は乙女に外衣と紗を返しませんでした。若者は美しい天女にすっかり心を奪われてしまい、彼女を天に還したくないと邪な欲を抱いてしまったのでした。
　彼は乙女に言いました。
ー残念ながら、私は外衣も紗も見かけてはおりません。
　天人はなおも哀しげに泣いています。若者は優しく言いました。
ー私があなたと一緒に外衣と紗を探して上げましょう。だから、泣かないで下さい。