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張型と旅をする女
第4章 別れ

子供の頭を撫でるように黒壇の箱に指を這わせた。

「これから、どこへ」

「さぁ。今までは2人きりで旅行なんて行けなかったから、どこへ行ったって楽しいわ」

「私」の脇を抜け、黒壇の箱と酒瓶入の風呂敷を持ちながらすっすっと姿勢良く出口に向っていく。

「ここで降りるわ。さようなら。楽しかったわ」

脚がすくんで立ち上がるのがやっとだ。意気地なしめ。

「あの、貴女のお名前を…」

軋むブレーキの音。扉に半分隠れながら彼女が赤色の唇をぱくぱくさせながら白い指で首を擦るようなジェスチャーをした。

「えっ?」

興奮した―?

品川駅についた。

ホームに出た彼女の後姿を、目に、脳にやきつけようと額が付くほど窓に張り付いた。

やがて「私」を乗せた大きな箱はガタゴトと揺れながら徐々に徐々に彼女から離れていく。

消えていく背中を見ながら、「私」の頭はスーツケースの中のことを考えていた。



〈了〉


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