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禁愛
第5章 葛藤
栞奈サイド。

「バカみたい…」

ぼそっと呟く…もう涙は出ていなかった。

しばらく横になっていると、また携帯が鳴る…

プルルルル♪プルルルル♪

着信は亨から…

また、かんなの心臓がしめつけられる…

『出ない方がいいかな…あぁでも、謝らなきゃ…』

電話に出ると

「もしもし、栞奈?今日大丈夫だった?」

「う・・・うん。あんな時間までごめんなさい、仕事大丈夫?」

「まぁ。眠いけど大丈夫!俺、まだ若いし!アハハ」

何事も無かったように亨は冗談を言い笑った。
つられて笑顔になる…

「私と同い年でしょ?もう若くないわよ!」

「そう?栞奈は気持ちでオバサンになるタイプだな…」

亨は大きな声で笑った。

「酷い!自分だってもうオジサンのくせにぃ…フフ」

「やっぱり…やっぱりお前はその方が良いよ、笑ってる栞奈の方が好きだ…」

不意に好きだと言われ、ドキっとなる。

「また、冗談…やだな…」

「冗談で、こんな事言わないよ…今朝も言っただろ?好きだって」

少し低いトーンで真剣に言われる。

「う…うん」

「それに…それにさぁ、今朝の栞奈はメチャクチャ色っぽくて…」

更に心臓は跳ね上がる…

「エロかった!」

さっきまでの静かなトーンはなく、中学の頃の亨の悪戯な声が聞こえ、
栞奈は一瞬ほっとした。

「ばか!もう切るからねぇ!私も色々と忙しいのよーーだぁ」

「アハハハ、怒った?…俺も今職場だから、また連絡する…じゃぁな!」

職場??職場であんな大胆な事を言っちゃうんだ…と栞奈は驚いたが、
亨と話、少し落ち着いた。

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