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禁愛
第5章 葛藤
しばらく、動揺で玄関から動けずに居た。

その時…

ピンポーン♪

玄関のインターホンが鳴る…♪

ビクッ!!

音に驚く…

『優?』

「はい・・」

「栞奈?私よーー」

和歌子だった。
玄関を開けると和歌子が笑顔で立っていた。

「和歌子かぁ、びっくりしたよー」

「なんで?」

あ・・・そうだよな・・・和歌子は今までの事を知らない…。

「あーごめんごめん、今ねここに居たからさぁ」

「なんで玄関に居るの?」

「旦那を見送ってたの」

「優さん帰って来たの?」

優の出張の事を説明しながらリビングへ通す…

「そーだったのね、また淋しくなるね…」

「まぁ・・・」

複雑な顔をしながらキッチンへと向かう

リビングから和歌子が話しかけてきた…。

「ねぇ、この前さぁ…」

栞奈はぼーっとしていてその声が聞こえない…

「栞奈―!聞こえる?この前さー」

お湯が沸いている事すらうわの空で気づかなかった。

その時…

「栞奈?どうした?」

「ひゃぁっ!!」

返事が無い事を心配し和歌子がキッチンまで来ていた。

突然背後から話しかけられたので…思わず変な声を出してしまう。

「ごめん。どうしたの?」

「こちのセリフだよー!何回も呼んでるのにー」

「そうだったの!ごめん!今、紅茶煎れるから」

リビングで紅茶を飲む。

なぜか二人は沈黙で少し時間が過ぎた。

「栞奈、そんなに淋しいの?優さんが居なくて・・・」

「ううん・・・そうじゃないの・・・」

「何かあった?」

「あの…ううん…何でもない…」

言いかけてやめられたので、和歌子は気になって仕方なかった。
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