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疼く…
第2章 第2幕 声
すでに、彼は ラウンジで新聞を読みながら コーヒーを飲んでいた。

私に気づいた彼は オーダーメードのスーツ姿で迎え入れ、アーモンドオレをすすめてくれた。

『夕べは、よく眠れたかい?ふふん、眠れなかったようだね』

『…。』

『なぜかなあ?麻以は嬉しくて震えていたものね。でも夕べは物足りなくて?気持ちが疼いた?』
『今日のことを妄想してたのかな?麻以はエッチなんだね』

『………』
見透かされた私は恥ずかしさと 軽い女に見られたことで いたたまれなくなってしまった。ミニタイトを選んだことも 真剣に後悔した。

『麻以、さあ、行こう!先ずはご飯ね!』

彼がハイヤーを予約していた。自家用車では来ないようにと言われて来たけど お酒を飲まない私、それに ここは私の地元、車なら出すのに…と ふと考えたが それは 間違いだった…


途中の老舗の蕎麦屋さんで 特上天ざるを食した。少し離れた席でハイヤードライバーも同じものを彼からご馳走されていた。

車に戻ると 彼は『いいかな?』と煙草を一本燻らせながら『まだけっこう走るから、少し眠るといい』と言って肩を抱いた。ドキドキが破裂しそうだったのに 夕べの寝不足と満腹の身体は深い眠りに落ちた…
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