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ハッテンlove
第5章 友達
一人になったら色々思い出してしまいそう。
にぎやかな二宮くんといた方が気持ち的に楽だ。

それを気付いてくれたんだろう…。


「泰三さん…ッ!ありがとッ!」

二宮くんがキラーンとした眼差しで、泰三さんを見つめた。

「悠真、ヒメのためにも成績上位に入れよ。オヤジさんを喜ばせてやれ」

心優しきガチムチ男前は爽やかに去って行った。
愛情の籠ったその心づかいに、今度は妬みというよりも心が温かくなってきた。

いいな…。恋人同士っていいな…。
さっき、恋人なんて望んでないって言ったけど…諦めるけど。
でも、やっぱり…。身体だけの関係って虚しいな、なんて。悲しくなってきた。

それと同時に、改めて二宮くんを見ると胸がキュッと苦しくなった。

駅で二宮くんに、近藤くんのこと…「好きになっちゃうんじゃないの?」って聞かれたけど。
近藤くんって二宮くんが好きなんだよね…。

二宮くんみたいなタイプな子が好きなんだったら、僕は完璧対象外じゃないの。
裏表のない可愛い笑顔。
おバカだけど優しくて明るい性格。僕とは間逆のタイプだね。

ヒメversionの時に「もしかして僕に惚れてる?」なんてこと思ったことあったけど、やっぱ駄目だよね。
いくらヒメとして夜会ってても、僕は結局、姫野葉月なわけで。
付き合ったりしたら、ずっと偽ってるわけにもいかないだろうし。

「二宮くん…僕ね、やっぱり好きなのかもしれないの。セクフレくん」

二宮くんがパァッと目を輝かせる。

「それ、いいじゃん。告りなよ。お前ならイケるって!」

わかってないね、君…。僕だからイケないんだよ。

「でも、その人に僕の本名教えるわけにはいかないの。素性も全部…教えたら嫌われる…」
「は?なんで?姫野葉月っていい名前じゃん。嫌われる要素なくね?って、泣くなよ!」

ポロポロポロ…。涙が止まらないよ。

恋人になれたらどんなに楽しくて幸せだろう。
二宮くんと泰三さんみたいになれたらどんなに…。


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