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わたしの彼は 甘くて強引
第3章 旅先の一夜

風呂上がりの二人

旅館におかれた浴衣を着用し
食事をすませた頃合いに外から声がかかった。


「失礼します」

「どうぞ」


柚子が返事をすると襖が開けられる。
着物姿の仲居さんだ。



「お片付けに参りました。…それから、布団のご用意もしたいのですが…」

「ええ、お願いします」

「どのようになさいますか」

「どのように?」


質問の意図が掴めず、柚子はそのまま聞き返してしまった。



「くっつけてくれ」

「…はい、ではそのように」

「――! 」


彼女の代わりに一言で返事をすませた匠。

彼の返事を受けて、早速机は端に寄せられ、布団が敷き詰められた。


もちろん

くっつけて、である。




「失礼致します」

「お、おやすみなさい」


襖の手間で正座をして丁寧に礼をしたその相手に、

柚子も慌てて頭を下げる。





――パタン




閉められた襖




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