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わたしの彼は 甘くて強引
第8章 油断の代償



「あ!…市ノ瀬先生―!!」



「……ッ」

「…! 匠さん…っ…呼ばれていますよ…!」



匠が彼女の唇を奪おうとした瞬間、遠くから看護師が彼の名を呼び――


柚子は慌てて匠から顔を離す



「用は何だ。さっきも言ったが俺の勤務時間はもう…」

「黒瀬先生が呼んでいましたー」

「くそっ…あの熊野郎が…!!」


悪態をつく匠を、柚子は顔を真っ赤にしてなだめる。



「ほら…行かないと…!」

「……」


とんだ邪魔が入ってきやがった


「――…キスは…、後でしてやる…っ…」


「……///」



そう言ってテーブルを離れた彼の後ろ姿を眺めながら、柚子は杏仁豆腐の、最後の一口をパクリと食べた。




……人前なのに


顎を掴まれた時、ちょっと期待してしまった



「…恥ずかし…っ」





キス、してほしかったな…










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