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第1章 あきとくんの中学受験　Ａ１　つるかめ算より分かりやすい○○算

　それから３時間ほどが経ち、私はあきとくんが予想していたよりずっと物覚えがいいことに感心していました。

「へえー、あきとくん算数の実力すっごくあるね。このテストで６０点も取れるなんて正直びっくり」
「ありがとうございます。低学年の頃からお父さんに計算のドリルは解くように言われてて、計算の速さだけは自信ありました」

　あきとくんは大人びているだけかと思いきや中学受験生としての地力は以前から鍛えられており、基本的な計算テクニックを問う私オリジナルの学力診断テストも１００点中６０点を取れていました。ちなみにこのテストの合格点は４０点です。

「でもこのテキストの……つるかめ算？　っていうのが正直よく分からないんです。面積算とか天秤算？　は何となく分かる気がするんですけど、つるとかめの脚の数なんて数えて何になるんでしょう？」
「あー、天秤算よりそっちの方が難しかったかぁ。そもそも最近の小学生は鶴も亀も見たことないよね。私も鶴は見たことないけど」

　いずれも中学校で習う方程式の変形である面積算と天秤算は何となく理解してくれたあきとくんですがつるかめ算はいまいちピンと来ないらしく、そもそも現代日本において鶴や亀で計算を例えること自体に無理があるのでこれは当然です。

　という訳で、私はもっと分かりやすい例で教えることにしました。