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君とメメント・モリ
第10章 12月25日クリスマスの朝 オフィスにて
むしろこれ以上借金が嵩まずにすむ、といった安堵さえあった。

凛は拓斗の方を振り返りもせず、ただ首を横に振った。

振り返らない凛の背中を見つめていた拓斗が、あきらめたように出て行く気配がした。

結局「ギャンブルをやめて欲しい」と本音をぶつけることはできずに終わった。この期に及んでも、お金を返して、とすらいえない自分に、苦笑さえ起きなかった。
お互いに本当の気持ちをむき出しにできないまま、関係は終わりを迎えることになった。
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