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君とメメント・モリ
第5章 変態
警官も帰ってしまい、凛は途方に暮れた。

しばらくの間リビングに通じるドアに寄りかかり思いを巡らせていたが、諦めて中にいる男と対峙しようと心に決め、思い切りドアを押し開けた。

「いっ」

ドアを押した感触に強い抵抗を感じて、凛は中を覗いた。男が思いのほか近くに立っていたのに気づかず、ドアの角で男の足の小指をゴリっとひっかいてしまったようだった。

男は咄嗟に片足を上げ、脛を持ってつま先を見た。みるみる足の小指から血が滲みだしてくる。
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