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きのうの夜は
第4章 離婚
私が、あの忌まわしい二世帯住宅から引っ越したのが2月の初旬だったと思う。
季節は桜の咲く4月になっていた。

だが、まだ離婚届は出されていなかったのだ。
そんな時、吉村に私はLINEをした。

「家は引っ越したけどまだ離婚届を出していないの…」
「そうなのか?」

「ええ、まだよ…」
「早く出せよ…」

「私もそうしたいんだけど、なかなか上手くいかなくて…」

そんなやり取りをしたように思う。
なかなか離婚届が出せなかったのには私に理由があった。

離婚したいと言っていてのだが、いざ、家を出てしまうと夫、雅之との思い出が蘇ってくるのだ。
始めて20歳で出会った頃の事とか、5年間の交際の出来事などを何故だか思い出すのだった。

それを、思い出して私は泣いていた様に思う。
その期間はかなり長かったかも知れなかった。

思い出が泣かせるのだ。
その、愉しかった思い出が私の心を締め付け泣かせるのだった。

そんな事を吉村は知らない。
早く離婚届を出せと言ってくる。

そんな日々を過ごしていた時だった。
雅之からLINEが来たのだ。

「今度の水曜日に、離婚届を出しに行きたいんだがいいか?」

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