パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第10章 距離感

いつ頃の事だっただろうか。
確かあれは、奥鬼怒に旅行に行った後だったと思う。

私は、吉村と一緒にいることに息苦しさを感じるようになってきた。
この頃の吉村の口癖はこうだった。

「彩夏、いつまで仕事続けるんだ？」

遠回しだが仕事をやめろと言ってきているのをこの時感じていたのだ。
吉村のマンションにはこの頃はまだ通っていたと思う。

だが、私の気持ちは冷めていた。
私がマンションに行き、夕飯を作り食べている時でも同じように言われる。

「いつまで、仕事続けるんだ？」

その度に、私はこう言っていた。

「まだ、続けるわ…」
「早く、仕事辞めろよ…」

吉村は遠回しに、結婚してくれと言っているのだとこの時分かった。
前夫の雅之と離婚した時も、結婚してくれと言われていたのだ。

あれから、もう2年になる。
吉村の気持ちは変わっていない様だった。

でも、私は思っていた。
この吉村と一緒になっても私は多分、この男と別れるだろう。

そんな予感がしてならなかった。
吉村とはセックスの相性も良くない。