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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
もし、そういった女がいるのであれば、結婚して、きちんとけじめをつけろと。さもなければ―もし本気でないのなら、さっさと別れて、相応の家柄の娘を妻に迎えるようにとも言われました」
公子は黙って男の言葉を聞いているしかない。
この場で何をどう言えば良いというのだろう。自分は公之を確かに愛している。だが、肝心の相手の気持ちも判らないし、第一、公子は公之の親切でこの別邸に厄介になっているだけの人間にすぎないのだから。