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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
 男の屈託ない笑顔が切なかった。
 今こそ、公子は悟った。
 自分にとって最も大切なのは、公之ただ一人なのだ、と。自分でも公之への恋心はとうに知っていたはずなのに、どうして、昨夜、公之の求愛を素直に受け容れられなかったのだろう。
 今更ながらに後悔が押し寄せた。
 もう、遅いのかもしれない。
 こんな男たちに犯されてしまった公子を、流石の公之も以前のように愛してはくれないだろう。
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