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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
 そのときだった。
 馬のいななきと共に、鋭い声が朝のしじまを破った。
「貴様ら、何をしている」
「―!」
 公子の眼に、こちらに向かって駆けてくる男の姿が映じた。
―公之さま!!
 公子の胸に限りない安堵がひろがってゆく。嬉し涙が溢れた。
 公之が助けてにきてくれたのだ。
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