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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
何故、今まで自分の気持ちから眼を背けていたのだろう。公子はもっと早くから、公之の傍にずっといたいと思っていた。そう、公之への想いをはっきりと自覚したのは、三ヵ月前、公之と初めて唇を重ねた日のことだった。あの日、公子は思ったのではないか。
この男のことを、もっと知りたい、公之が見せる色々な表情をもっと見て見たいと。
ずっと一緒にいたいと感じる、その心こそがその人と生涯を共にしたいということなのだ。