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エリート妻色情飼育
第63章 第五十六章 マドンナ
「あら、そうなんだ・・井上さん、幸せ者ね?」

井上の顔が更に赤くなる。
間近で見る裕子の美貌は、井上の酔いを加速させるには十分であった。

入社以来、ずっと憧れていた裕子と同席する事だけでも今夜は興奮していたのだ。

才色兼備の裕子の美貌は社内の男達を魅了していた。
噂では過去に離婚の経験があるというが、かえってそれが妖しい魅力を添えているのだった。

何を隠そう、春香に出会う前は本気で裕子に惚れていた井上だった。
そう、井上にとって裕子は「マドンナ」なのだ。
裕子が席を外してる時、グイグイ酒をあおぎながら悟が言った。

「どうだ、いい女だろう・・・?」
裕子への井上の熱い眼差しに気付いていた悟が、からかうような表情をしている。

「幸せ者だな、お前は・・・
佐山さんみたいな綺麗なお嬢様と婚約して。
だけどな、井上・・・」

何時も冷静な悟にしては、顔を酔いで赤くしながら大きな声で言う。

「お前は将来秋元グループを継ぐ
俺の片腕になるんだ。
分るなっ・・・?」

「ハ、ハイッ・・専務、光栄です・・・」
悟の意外な言葉に、お世辞では無く本気で井上はそう思った。

留学経験もある悟は頭脳明晰で、何をやらせても優れていた。
そんな男に将来の片腕などと言われれば、興奮するのも当り前である。

「お前と俺は一身同体だっ・・・。
俺は例え自分の女でも
お前となら共有してもいいとさえ
思ってるんだ・・・」

悟の言葉が酔いで痺れている井上の頭に、心地良く響いていく。
井上は感動して涙も流さんばかりに、悟に掴まれた手を握り返して言った。

「お、俺もっ・・専務もためなら・・・
専務のためなら何でもします・・・」

感動しやすい性格なのだろう。
冷めた若者が多い中で珍しく純情であった。

そんな所が気に入っている悟ではあったが。
井上に言った事は本心であった。

T大を優秀な成績で卒業した井上は性格も素直で、悟は将来の片腕として井上を買っていた。
そして完全に自分の意のままになる程に育てていきたいと思うのだった。

そう、まるで奴隷のように。
裕子が席につく瞬間、悟が耳元で囁いた。

「抱いていいぞ・・井上・・・」

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