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エリート妻色情飼育
第104章 第三部 想い 第十一章 退職の挨拶
「ああ・・知っとる・・・」
力の無い声が響いた。

「だったら・・・」
「本気になるやろぉ?」

女の声を遮る男の顔は切なく歪んでいた。
右手をギュッと握りしめている。

「あかんのや・・本気になったら・・・」

事情を知らない裕子は理解できなかったが、何か複雑な訳があることだけは感じた。

「そうですよね・・・」
諦めたように早苗が呟いた。

「私も・・だから・・・
一生、独身でいようと思ったんです・・・」

何か言おうとする男を制して言葉を続ける。

「元々、レズの体質だったし・・・
だから・・・」

早苗の瞳から涙が溢れ、頬に流れていった。

「おネェ様ぁ・・・」
裕子も泣きながら早苗を抱きしめた。

無意識に禁断の呼び方をしたのには気づいていない。
二人は抱き合いながら暫らく嗚咽を漏らしていた。

「ありがとう、裕子・・・」
早苗も愛おしい呼び名で囁くと、そっと身体を放した。

「社長・・幸造様・・・」
男の顔を真っすぐに見つめている。

右手が胸のスカーフをシュルリと抜いた。
そのまま、制服のボタンを外していく。

「最後に一度だけ・・抱いてください・・・」
ブラウスがはだけ、形の良いバストがブラジャー越しに見える。

「さ、早苗・・・」
幸造は呆然と見つめるしかできなかった。

それは悟と裕子も同じだった。
二人並んで早苗の動きを見守っていた。

「もう、若くはないけど・・・」

ブラジャーからブルンと弾けたバストは、瑞々しい肌で魅力的だと裕子は思った。

スカートをストンと床に下ろすと、パンティだけの姿で幸造の胸に飛び込んでいった。

「さ、さな・・・」
男の声が唇で塞がれる。

「んん・・んふぅ・・・」
早苗の踵が浮き、背広越しに男を抱きしめている。

(おネェ様・・・)
情熱的なキスをする早苗を見つめながら、裕子は身体が熱くなるのを感じていた。

やはり愛していたのだ。
早苗は社長を。

報われない恋に同性を愛するようになったのだろうか。

分からない。
だが、これだけは確かな事実だった。

早苗は今日で退職する。
幸造と本当の意味で分かれることになるのだ。

だから。
最後に抱かれたいという早苗の願いを。

裕子は叶えてあげたいと思うのだった。
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