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エリート妻色情飼育
第113章 第十九章 裕子の決心
「かわいそうに・・・」
男の呟きがジンと染みた。

「無理せんで、ええで・・・」
裕子の髪を優しく撫でてくれている。

涙が溢れてくる。
孤独に震えていた気持ちが癒される気がした。

何粒かがシーツに落ちていく。
さっきの染みと合わさり、模様が広がっていく。

男はそれ以上、何も言わず引き寄せてくれた。
抵抗することも無く身体を預けた。

汗の匂いがする。
嫌ではなかった。

顔を押し付ける。
胸いっぱいに男の匂いを吸い込んだ。

その時、何かが。
裕子の中で弾けた。

悟への想いも。
幸造に対するわだかまりも。

今まで「何か」にこだわっていた。
その気持ちが全て溶けていくような気がした。

顔を上げ、男を見る。
優しい眼差しが変わらずいた。

「あぁ・・・」
裕子はタメ息をついた。

何だか。
ホッとしたから。

裕子は男の腰に両腕を廻し、ギュッとした。

「えっ・・・?」
幸造は意外そうな表情で裕子の顔を見つめた。

「ふふ・・・」
涙で濡れた眼差しのまま口元が綻んだ。

長い睫毛が覆う目蓋が近づいていく。
甘い香りが男の鼻腔をくすぐる。

「ねぇ・・・」
ぷっくりした唇が割れて囁きが漏れる。

「あぁ・・・」

幸造が吐息を漏らす。
女の唇が更に近づいていく。

「キス・・・」
囁きが、熱い。

「・・して・・・」
男の唇の中に消えていった。
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