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背徳は蜜の味
第30章 人妻その三十 ~生徒の保護者と結ばれて~
礼子と雅晴が肉体関係になってから数ヶ月が過ぎた。
中学校の職員会議が終わってから、
礼子は校長先生に手招きされて校長室で二人だけで向き合っていた。
「どうだね、あの例の伍代という生徒さん。
最近は補導されたとも聞かないし更正できたのかい?」
「ええ、お陰さまで…
元々、素行不良ではなかったので今は落ち着いて学生生活を過ごしてます」
「そうかい、そりゃ良かった。何よりだ」
ところで…と
校長先生は話題を変えた。
「きみ、離婚調停にケリが着いたんだって?」
校長先生は礼子と夫が入籍する際に仲人を勤めてくれていたので、夫が離婚の事を報告したに違いない。
「すまんねえ、仲人まで引き受けたのに仲立ちもしてあげれなくて…」
長らく争っていた離婚調停に、礼子は、あっさりと白旗を上げて、愛の巣だった高級マンションを夫とその愛人に手渡して自分は着の身着のままで部屋を飛び出した。
「でも、君はいい度胸をしてるねえ」
「はいっ?」
「私の目は誤魔化せんよ
君は妊娠してるだろ?」
図星だった…
けっこうゆったりした服装で誤魔化しているけれど
すでにお腹が少し目立ち始めていた。
「旦那の子だろ?いいのかい?身籠った事を知らせなくて?」
「ええ、それも含めて話し合って決着済みですので…」
お腹の子供の父親は伍代雅晴である。
年が開ければ入籍するつもりだ。
彼の息子の雅彦くんも、礼子が母になることを喜んでくれて、すっかり更正して今では模範的な生徒になってくれた。
世間では不倫を目の敵にするけれど、
こうしてすべてが丸く収まることもあるということを、礼子は身をもって思い知らされた。