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ココロのアナ
第11章 過去

仕事復帰をし暫くの事

退院してから旭は俺に触れない
あまり近くに座る事もない
体調…気にしてるのか…


俺は飼われる為に一緒に住むはずが
そんな素振り見せないから
変な話逆にいいのか?
なんて思ったりもする…

期待…している訳ではないが…



2月に入り渚が退職したと聞いた。

渚…
あれ…渚といた…?
俺…渚といたのか…?


忘れたはずの記憶が徐々に戻り始める。



《旭に捨てられる》



あれ…どっかで…聞いた…
誰に言われたんだっけ…


思い出そうとすると頭痛がする。
吐き気がし、体が軋む。


《可哀想》



俺が…?
何でだよ…



渚の名前を聞いた瞬間俺の頭の中には
そんな言葉が蘇った…。


「っ…」



その日の夜旭に聞いてみた


「俺…渚といたのか…?」


ハッとした顔を見逃さない
旭は何か知っている
俺が倒れた時の事…
忘れていた事…


「知らなくていい事は
知らなくていいから忘れているんです
違いますか?」



「でも…頭の中に…声が残ってるんだ
そんな理由で済ませれないだろ…」



困ったようにため息を吐き


「どこからどこまでききたい?
全てを思い出した時
あんたは普通でいられんのかよ」



普通って…なんだよ…
聞いて変わるほどの事か…



「あの部屋はそういう事か…」



分かりたくないが
旭が言おうとする事の予測はつく。
思い出したくないと体が震え拒絶する


でも…
大切ななにかも忘れたままだ。
それが知りたかった…





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