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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第2章 桃源郷は地獄だった




「絶対に蘇ってやる。」





眉間に皺を寄せて、睨みつける様に天を仰ぐ。

どんな事をしても、蘇って。

必ず彼の元に戻りたい。





「……はぁぁ……こんなイかれた奴があと何人いるのやら…。」






どうやら胡蝶と四神達の相性は良くないようだ。

朱雀の様に胡蝶への敵意を隠さずにぶつける四神も出てくるだろう。






まぁ…それでも。

今日味わったこの悲しみより。

強く胡蝶を傷付けるのは、もう起こりはしないだろうと思った。






目を背けて逃げたくなった。

だけど目を離せなかった。





他の女人を抱きながら、チラリと胡蝶を見た朱雀の目線。

どうしてもその目を逸らすことが出来なくて、1人の女人を挟んで2人ずっと見つめ合っていた。






胡蝶はゆっくりと立ち上がった。

今度は足はふらつかなかった。





また度殿に出て、桃源郷を見渡した。

先程と変わらない、幻想的な美しい景色が広がっている。






女人にとって夢の様な時間を過ごすための桃源郷。







しかし、胡蝶にとっては、どんな地獄よりも辛い場所だ。

それでもやっぱり、また目を逸らす事は出来ないだろう。






「……貴方の元に帰る為に。」






利用できるなら、朱雀さえも利用して。

それがどんなに傷付けられると分かっていても。





きっと私は朱雀の目を見つめ続けるのだろう。






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