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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第4章 美しき桃源郷
「とにかく俺は、胡蝶に協力する事にしたよ。
桃源郷で幸せな時間を過ごして、ちゃんと送り出したい。」

「……朱雀様と仲良くしろと、すでに助言を貰ってます。」







胡蝶は玄武の言った言葉にあまり魅力を感じていない様だ。

一度突き放した様に言ってしまった言葉が、彼女に不信感を与えている様だ。






「……撤回するよ…。朱雀との事や鶯の事があって桃源郷に嫌な思いを募らせたかも知らないけど、この世界は胡蝶が思うよりもずっと美しくて儚いから。」

それを胡蝶に分かって欲しい。

最後に玄武はそう言った。







玄武の言葉を聞いて、胡蝶は窓の外に目をやった。

ここから見える光景は確かに『美しい桃源郷』だった。







玄武はこう言っているが、それは胡蝶の望み通りの『蘇り』では無く『転生』なのだろう。

胡蝶は窓から入ってくる気持ちのよい風を浴びながら、小さく息を吐いた。







桃源郷には桃源郷のルールがある。

1つ【彼ら四神達は桃源郷の女人全てに甘い夢を預ける】

1つ【彼らの愛を得た者は彼らの寵妃として桃源郷に残る事が出来る】

1つ………。






「……玄武様の意向にそおうと思います。」

小さな声でポツリと言った桔梗に玄武は一瞬喜んだ笑みを浮かべた。

しかし、窓から目を離し、再び玄武を見た胡蝶の表情に息を呑む。






「桃源郷のルールに従い、私とゲームをしませんか?」

「……はっ……。」

ニッコリ笑って玄武に提案する胡蝶の顔を見て、玄武は面白そうに笑った息を吐く。






【四神達全ての同意があれば蘇る事が出来る】






「私は四天王様全ての寵妃になりましょう。」






目を細めてそう笑った胡蝶に、桃源郷の風が吹いた。



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