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天狐あやかし秘譚
第114章 天道是非(てんどうぜひ)
そうは思うが、頭の中にあの時の光景がちらつかないかと言えば嘘になる。
高い崖のようなところが落ちて尖った岩に頭を打ち付けて、
頭蓋骨が割れてしまったのかもしれない。見たこともないほどの量の血を流して、その合間からなにか白いものも見えて・・・
すごく、リアルな『私が死ぬ映像』を見せられた。
そして、それが3日後に起こることが『確定』したのだ。柵を掴む手が知らぬ間に震えていた。
やっぱり・・・怖いな。
そう思った時、ふわりと、背後に暖かさを感じた。
ダリが塔屋から降りてきたみたいだった。
背中から彼の匂いと温かさが私を包みこんでくれる。
そのままその温かさに任せて彼に体重を預けた。
上を向くと、ダリの顔がある。
その瞳には、目の前の月が青く落ちていた。
どちらからともなく、唇を寄せ合ってキスをした。
不安な気持ちの端っこが、ちょっとだけ溶けたような気がした。
「ダリ・・・怖いんだよね・・・私」
「すまない」
「うううん。そういう事、言いたいんじゃないの」
恐怖の正体はわかっていた。
「早いよね・・・ダリ、覚えている?」
「ああ」
ふふ・・・少し笑みがこぼれた。
ダリも、覚えていたんだって。
「私たち、会ってもうすぐ1年だよね」
「主が、我のいる神社に来たな」
「そうだよ。そこで祈ったんだ・・・愛されたいって」
「よく、聞こえた・・・そして、覚えている」
ギュッと背中から回されたダリの腕に力がこもる。
その手を私もそっと掴んだ。
さっきよりちょっとだけ手先があったかくなった気がした。
「1年間めちゃくちゃいろんなことがあった。
清香ちゃんや芝三郎と出会って、
陰陽寮に入っちゃって・・・桔梗のいる家に皆で住んで・・・」
いっぱい怖い目にもあったけれども、
色んな人と出会って、支えられて、乗り越えてきた。
そして何より・・・
「あなたが・・・私を愛してくれた」
ぽろっと涙がこぼれた。
その涙が頬を伝って、顎から落ちて、ダリの着物を濡らした。
高い崖のようなところが落ちて尖った岩に頭を打ち付けて、
頭蓋骨が割れてしまったのかもしれない。見たこともないほどの量の血を流して、その合間からなにか白いものも見えて・・・
すごく、リアルな『私が死ぬ映像』を見せられた。
そして、それが3日後に起こることが『確定』したのだ。柵を掴む手が知らぬ間に震えていた。
やっぱり・・・怖いな。
そう思った時、ふわりと、背後に暖かさを感じた。
ダリが塔屋から降りてきたみたいだった。
背中から彼の匂いと温かさが私を包みこんでくれる。
そのままその温かさに任せて彼に体重を預けた。
上を向くと、ダリの顔がある。
その瞳には、目の前の月が青く落ちていた。
どちらからともなく、唇を寄せ合ってキスをした。
不安な気持ちの端っこが、ちょっとだけ溶けたような気がした。
「ダリ・・・怖いんだよね・・・私」
「すまない」
「うううん。そういう事、言いたいんじゃないの」
恐怖の正体はわかっていた。
「早いよね・・・ダリ、覚えている?」
「ああ」
ふふ・・・少し笑みがこぼれた。
ダリも、覚えていたんだって。
「私たち、会ってもうすぐ1年だよね」
「主が、我のいる神社に来たな」
「そうだよ。そこで祈ったんだ・・・愛されたいって」
「よく、聞こえた・・・そして、覚えている」
ギュッと背中から回されたダリの腕に力がこもる。
その手を私もそっと掴んだ。
さっきよりちょっとだけ手先があったかくなった気がした。
「1年間めちゃくちゃいろんなことがあった。
清香ちゃんや芝三郎と出会って、
陰陽寮に入っちゃって・・・桔梗のいる家に皆で住んで・・・」
いっぱい怖い目にもあったけれども、
色んな人と出会って、支えられて、乗り越えてきた。
そして何より・・・
「あなたが・・・私を愛してくれた」
ぽろっと涙がこぼれた。
その涙が頬を伝って、顎から落ちて、ダリの着物を濡らした。

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