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夜に咲く名前のない恋人達
第12章 麗香の出した条件
ルカが『ジュリア』に戻って来て、10日が過ぎた。

11月25日。

売上バトル終了まで残り6日。

ルカチームは必死に売上を伸ばしているが、差は縮まっていない。

その差は変わらず500万のまま。

逆転可能な数字であるが、追い詰められているのが、ぷりんにも伝わる数字だった。

ぷりんはSNSで知ったその情報を胸に、ライブのステージに立っていた。

客席を見渡しながら、必死にパフォーマンスを続けるぷりん。

「みんなーっ!! 盛り上がってーっ!?たんたたたんたん♪しゃーいくぞっ!!」

アイドルスマイルを作りながら、右手を客席に向かって差し出す。

その瞬間。

「えっ……?」

ぷりんの笑顔が、ピタリと固まった。

指を指した壁際に、麗香がいたのだ。

何しに来たの……

麗香さん……

麗香はルカの太客だった。

ずっとルカに金を使い続け、溺愛していた女。

しかし高額なシャンパンタワーを予約して、飛んだ挙げ句、ルカを借金漬けにして裏社会の男達に監禁させた張本人。

いったい……

私に何の用なの……

しかしライブは続いていく。

視線を逸らして、無理やり笑顔を作る。

「ふらっと#らぶ、次の曲いきまーすっ!!」

会場が盛り上がる中、ぷりんの脳裏には、麗香の存在が消えないままだった。
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