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第18章 新婚旅行６日目　７月１２日　～AM～

甘い物は別腹とはよく言うけど、
なんかケーキ１個ぐらいなら
食べられそうな気がして来て。

ショーケースの前で
しばらく悩んで、私は
一番気になった紅芋ショコラを
旦那さんは紅芋のシュークリームと
紅芋のモンブランと、生タルトを買っていて。

イートインスペースでそれを
美味しく頂いたんだけど。

『そろそろ時間になりそうなんで
ここでしか出来ない事を、
体験しに行きましょうか』

と…言われて…連れ来られたのは
開放的な大きな窓が印象的な
家庭科室の様な大きな
テーブルが幾つか並んでいるお部屋で。

御菓子御殿の恩納店では
予約制で紅芋タルト作り体験を
する事ができるのだそう。

『あ、もしかして会うかなって
思ってたんですけど、会いましたね』

一緒に紅芋タルト作りをするのは
別の小さい子を連れた家族連れ２組と、
私達夫婦と、またしても…
ご一緒する事になった山崎さんご夫婦。
それから…もう１組の若いカップル。

お天気がずっと微妙だったから、
紅芋タルト作りを、旅行のプランに
入れる事にしたみたいで…、
山崎さんの旦那さんも港斗くんと
同じ事を考えていたみたい。

最初から目の前に…あのよく見る
紅芋タルトのタルトの部分の
サンライズみたいな形をした
専用の型の中に適量の生地が
丸めてある状態ですでに入っていて。

横４列、縦に３列で
１枚の型で１２個の
紅芋タルトが作れるみたい。

まずはこの型の中に入ってる
粘土みたいに丸くなってる
紅芋タルトのタルト生地を
この型の形に添わせる様にして
生地を指で伸ばして整えていく。

丸まっている状態の生地も
粘土みたいだけど、この型の
形に合わせて生地を
伸ばしていく作業も
地味に粘土遊びみたいだから。

子供さんも楽しく体験してるみたいで、
隣の隣のテーブルで、生地を
ぎゅっぎゅっとしてる
家族連れの子供をチラ見しつつ。

『巴、これ、どうですかね？
これとかいい感じじゃないですかね？』

多分この上に紅芋タルトの
紅芋のペーストを絞るから
完成した物のタルトは
多分縁の部分とかしか
上から見ても見えないだろうし…。