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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第19章 そしてあたしは溺れる。
 ◆



 唯斗さんと両想いだったことを知ったあたしはあれから散々泣いた――。
 今の時間は午前10時を回ったところ。
 明るい日差しの中で、あたしは一糸も纏わない姿でベッドの上に横たわる。
 あたしを組み敷く男性は大好きな唯斗さん。
 好きな人と両想いになれたのは嬉しいし、ずっとこうして抱かれたかったのも事実。
 だけど、でもっ!

「――っつ」
 ……恥ずかしい。
 今までは唯斗さんを誘惑するのに必死であれこれ動いていたけれど、両想いになって抱かれるのとは訳が違う。
 恥ずかしいところも、感じるところも、唯斗さんにはもうすっかり見られているし知られている。
 でも、でもねっ?
 これって、なんだろう。
 とっても恥ずかしい!!
 両手で全身は隠しきれないけれど、どうにか頑張って隠そうと腕を回して包み込む。両太腿もしっかり閉ざした。


「澪ちゃん……」
「っひゃ!」
 そっと耳元で名前を囁かれればくすぐったい。
 反射的に首を窄めた。
 あたし、どうしちゃったんだろう。
 唯斗さんを堕とそうと必死だった時なんて裸エプロンとか平気でしてたのに、今はすごく恥ずかしいと思っている。
「こんなに可愛い澪ちゃんが見られるなら、おかしな臆病風を吹かさずにさっさと告白しておけば良かった」
 両方のこめかみにそれぞれ口づけが落とされる。
「あ、ん……」
 身体が震えるは怖いからとか寒いからとかじゃない。
 好きな人に抱かれる悦びに溢れているから――。
 薄い唇があたしの口を塞ぐ。


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