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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌

殆ど同時に狼達の動きも止まった。

その異様な光景は、ただならぬ状況であることをセレナに突き付ける。


“ どうした…の… ”


彼女は止まったローの腕を掴んで、声には出さず目だけで訴えた。

しかし彼はスッとその視線をかわし、聖地の出口である洞窟を見つめる──。


「……音が聞こえた」

「音って、何の…?」

「お前達が好んで使う、火を吹く武器だ」


彼の尖った耳が動いていた。

周囲の草木の全てが此の瞬刻だけざわめき、闇を裂いた爆発音に動揺している。


「火を吹く武器、それ…っ、まさか銃のこと…!? 」


意味を理解したセレナは青ざめた。

対するローは変わらずの無の表情でただ…音のした方向を見据えていた。


彼女の問いに答えることなく

その方向へと足を向ける──。




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